逸脱×感情刺激でヒットを作れ!新R25渡辺編集長のコンテンツ論とは?

クリエイティブに挑戦する人にそっと寄り添う企画「Try Creative!」

今回のイベントは、2022年6月20日(月)に「新R25渡辺編集長に聞いてみた!」と題して開催されました。

副題にもある「ライター・編集者に求められるクリエイティブとは?」からコンテンツ制作の肝に至る部分まで、多様な広がりを見せた垂涎の情報が満載。

また、「良いライター」の条件についても渡辺編集長に話を伺いました。
ぜひ参考にして、今後のコンテンツ制作にお役立てください。

【スペシャルゲスト講師】渡辺 将基氏
静岡県富士市出身。慶応義塾大学理工学部卒業。
「株式会社カカクコム」「株式会社モンスターラボ」を歴任。
「株式会社サイバーエージェント」では、社長室のUI/UXディレクターとして活躍。
現在は、株式会社新R25の編集長として、SNS等も駆使して多方面で尽力。子煩悩な3児の父。

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【ファシリテーター】長濱 裕作(ハマ)氏
静岡県掛川市在住。CreativeLABコミュニティマネージャー。
取材ライター、講師、ゲストハウス経営、NPOなど、さまざまな仕事を掛け合わせて活動。新R25の大ファン。家族を愛する3児の父。

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ブログ…https://hamalan.com/

【ファシリテーター】廣沢 香菜氏
茨城県在住。CreativeLABコミュニティサポーター。
出産を機に、10年以上働いたエステティシャンからwebデザイナーに転身。
司会やイベント企画、サポートなど、司会兼webデザイナーとして活躍中。

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結果の違いは最大10倍!?コンテンツの肝とは?

ーー記事を作る工程にはいろいろあると思うのですが、渡辺編集長から見てここが重要だなと感じる部分はありますか?

渡辺編集長
渡辺編集長

良いコンテンツを作るときにどこが一番影響が大きいかというと、やはり書くところですね。
企画、取材の素材があるときに、人によって大きく結果が変わってくるのが書くところだと思ってます。
でも、それはある意味で救いだとも思うんですよね。書くところで挽回できるので。
実際は取材力ってそんなに大差はないもので、それよりも書くところですね

じっくり頷きながら、真剣な表情で聞いていた長濱氏からさらに質問が飛びました。


ちなみにその”書く”というのは、文字起こしから始まって編集的な作業も含めたことですか?

渡辺編集長
渡辺編集長

そうです、そうです!

と、深く頷いた渡辺編集長。眼光が鋭くなり、さらに言葉に力がこもりました。

渡辺編集長
渡辺編集長

素材の中からどこを使い、どう構成して、どのようなリズムで、どのような表現で書くのか

深く頷くファシリテーターのお二人を横目に、渡辺編集長の口から衝撃の言葉が飛び出しました。

渡辺編集長
渡辺編集長

感覚的にはこの作業で…結果が10倍ぐらい変わるのかなって

▲10倍の言葉が出た瞬間

すごい!10倍も…

渡辺編集長
渡辺編集長

最高で10倍。2、3倍変わるとかは余裕であると思いますよ

それを聞いてファシリテーターの長濱氏が、閃いたようにぽつりと一言。


それは料理の工程に似てますよね…冷蔵庫にある食材をうまくこしらえて料理として出すのは、お母さんの腕というか…

渡辺編集長
渡辺編集長

まさにそうです!

この言葉を聞いた瞬間、筆者はある方の言葉を思い出しました。
その人物は、「思考の整理学」をはじめとするベストセラーを数々生み出した外山滋比古先生です。
外山先生は、「文章力 かくチカラ」の中で次のように述べています。

“文章は料理のように、おいしく、つまり、おもしろくなくては話にならない”
(外山滋比古 文章力 かくチカラ 2010年発行 P10 より引用)

素材、食材をどのように調理するかは、書き手にとって最大の腕の見せ所かもしれませんね。

「読まれる記事」のために意識すべきたった2つのこと

ここからは、具体的に新R25の記事をもとにお話を伺っていきたいと思います。
歴代のランキングで上位に来ている記事は、なぜだと思われますか?

渡辺編集長
渡辺編集長

そうですね…シンプルにページビューがどういう要素で決まるかというと、1つ目はCTR。いわゆるクリック率ですね。そしてもう1つはシェアです。どれだけ外に広がったか。

単純な数式だと思うんですけど、この2つの条件を最大化することを頭に入れておくことが、読まれる記事を作るために大切なことなんです

ここでいったん整理しましょう。記事が読まれるために意識することは2つです。

  • CTR(クリック率)を意識する
  • シェア、どれだけ外側に広がったかを意識する

そのうえで、

渡辺編集長
渡辺編集長

新R25において、その2つを満たす鉄板の形があるんですよ

とニヤリとした渡辺編集長。
「鉄板」と称される法則とはどのようなものでしょうか?さらに深掘りしました。

普通からの逸脱×感情刺激で限界を突破せよ

渡辺編集長
渡辺編集長

一番初めに世の中的には常識とか普通とされているものに対して、そこから差分のあるもの、常識を覆されてしまうようなものを感じることなんです。
その入口が作られることで、コンテンツがとがってくるんです。
ただしCTRは上がるんですけど、これだけではまだ不十分なんですよ。
そこで何が必要になってくるかというと、発見や納得、そして共感という感情です。
入口はとがっているのに、中に入ってみると納得してしまうという形。これが鉄板なんですよね

渡辺編集長の口調は、どんどん熱を帯びてきます。
さらに核心に迫る言葉があふれてきました。

▲「鉄板」の核心について熱く語る渡辺編集長

渡辺編集長
渡辺編集長

CTRのためには、普通からの逸脱。それで、中に入ったあとは感情刺激なんです。
感情が刺激されればされるほど、シェアにつながりやすいんですよ。
そのときの感情ってなんでも良いんです。笑い、納得、共感、発見…もしくは怒り。
新R25では怒りの感情を扱っていないんですけど、どれを選択するかはメディアのスタイルも関係してきますよね。
それに加えて同じ情報でも、順番やリズムによって感情の刺激のされかたも変わってくるんです

大切な話がたくさん出ました。ここで整理します。

  • CTRアップのためには「普通からの逸脱」
  • 「感情刺激」はシェアにつながりやすい
  • 刺激する感情は「笑い、納得、共感、発見、怒り」のどれでもOK
  • ただし刺激する感情はメディアのスタイルも関係してくるので注意
  • 同じ情報でも順番やリズムによって読み手の感情は変わってくる

「普通からの逸脱×感情刺激」により、飛躍的なコンテンツが誕生するかもしれませんね。

「良いライター」として活躍するために必要な要素とは?

「良いライター」とは、一体どんなライターなのでしょうか?
渡辺編集長は、次の言葉で説明してくれました。

渡辺編集長
渡辺編集長

僕が良いなと思うライターさんの特徴は、主観と客観のバランスが良い人ですね

主観と客観のバランスですか…

筆者も思わず、画面の前で同じことを呟きました。
さらに渡辺編集長の話は続きます。

渡辺編集長
渡辺編集長

紙とwebの文章の1番の違いは、流通経路の違いなんです。
紙の場合は本や新聞にせよ、その流通経路がある程度確保されているので読んでもらえるんです。
でもwebの場合は、誰にも見つけてもらえないということが起きるわけです。
そういう意味で、客観的視点、マーケティングのことも考えられないと厳しいということはあります。
ただ、客観的視点だけでもダメなんですよ。コンテンツの温度感がなくなってしまうので。
そこに自分の主観とか気持ちとか、好きとか嫌いとか、その両方を乗せることが大事なんですよ。
それを知る意味でも、Twitterをやってみるのも1つの方法です

どちらか一方に偏るのではなく「バランス」が大事なんですね。

自分が「主観タイプ」か「客観タイプ」か知るオススメの方法

ここで視聴者から「主観と客観が自分では分からない」というコメントが届きました。

主観と客観を自分で知るにはどうしたらいいのでしょうか?

渡辺編集長
渡辺編集長

うーん、なんでしょうねぇ…これは難しいですね…

▲遠くを見つめて悩ましげな表情を見せる渡辺編集長

渡辺編集長
渡辺編集長

難しいですけど、例えばTwitterとかやったときに、自然と何を書きたくなるかっていう部分である程度分かるような気がします

自然と何を書きたくなるか、ですか

渡辺編集長
渡辺編集長

自分の気持ちとか主観をどんどん発信したいのか、それとも世の中的にはこういうものが流行していて、面白いという分析的なものかなどですね。
素直にどちらに自分の気持ちが揺れるかで判断するっていうのは、あるのかなと思います

このような判断の方法もあるんですね。
今日からでも始めることができる、自分の主観と客観の見分け方。
読者の皆さまも、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。

「名詞」ではなく「動詞」で自分の好きを発見しよう

続いて、主観と客観の話から「好き」という言葉についても興味深い話が展開しました。

渡辺編集長
渡辺編集長

領域としての好きというよりは、インタビューが好きというか、そっちの方の好きを見つけてほしいと思います

聞いた瞬間はてなマークがいくつか浮かんで消えました。
これはどういう意味なのでしょうか?

渡辺編集長
渡辺編集長

ジャンルとして興味があるものも、もちろん大事にしていいんです。
でも、まずはジャンルとか領域の好きよりも、得意なことって言うんですかね。
そっちを見つけていくのが大切です。
スポーツが好き、サッカーが好きから入ると、仕事の幅が狭まっちゃうんですよね。最初のうちは。
だから、自分の能力を発揮できることを見つけていく方が大事ですよね

▲待てよ、この話どこかで…何かを思い出しかけたファシリテーターの長濱氏

以前少し聞いたことがあるのですが、名詞か動詞かの話と同じでしょうか?

渡辺編集長
渡辺編集長

あーそうです!同じです。まさに

なるほど!じゃあ…「サッカーが好き」ではなくて「サッカーの戦略を考えるのが好き」という視点で考えるのが重要ということですね

渡辺編集長
渡辺編集長

そうです。そうすると、サッカー以外の所でも、仕事をやっていて力を発揮できるんですよ。
まずはそこを伸ばしていくと、最終的に名詞的な好きにもいけるんですよね

これは初めて聞いた考え方で、本当にびっくりしました。
さらに驚いたのは、この文章をコワーキングスペースで書いているときにほぼ似たような話が耳に飛び込んできたことです。

好きなことを仕事にしなさいとかってよく聞くでしょ。
あれ、案外間違ってるんだよね。名詞から入ってるから。そうじゃなくて動詞から入るのが大事なんだよ。

名詞からって何も生まれなくてさ。例えば野球が好きって言う人がいるでしょ?それだけじゃ何もわからないわけ。でも、野球観戦が好きとか野球の守備が好きとか、バッティングが好きとか動詞が加わると一気に世界が広がるんだよね。

名詞からは、こうはいかないでしょ?名詞でなくて、動詞で物事を考えてみる。これ、ほんと大事な考え方だから覚えておくといいよ。

セレンディピティとは、まさにこのようなことを言うのでしょうか。
動詞で考えることによって、新たな創造や発見が生まれるかもしれませんね。

クリエイティブを支える「脳内壁打ち」

最後に渡辺編集長が考えるクリエイティブについてもお聞きしました。

▲クリエイティブについて「脳内壁打ち中」の渡辺編集長

渡辺編集長
渡辺編集長

一言で表現すると、いろんなジレンマと戦いながらそれを乗り越えようとしている人、実際に乗り越えている人、そういう人をクリエイティブだなって思いますね。
なんとなく派手なことをやっている人というよりは、このアイディアでこれとこれを同時に解決しているとか、そういう人にクリエイティブさを感じます。
だいたい、どちらかを妥協すれば誰でもできるんですよね。
なので、僕はそういう視点でクリエイティブな人を見ているかもしれません

クリエイティブなライターは、何かを解決しているということですか?

渡辺編集長
渡辺編集長

はい、自分のキャラクターを大事にしつつ、何かに挟まれながらもそれを両立させようとしている人というか…だいたいそうなんですよ、名を揚げたり何かを登っていくときって。
だからそういうお題をもらったときでも、諦めるんじゃなくて常にどう解決できるかを考えるのが大事かと。
そういった意味では自分が考えた企画から、もうひと粘りできるかが大事になってくるんですよね。普通に抗うトレーニングというか。
いきなりすごい場所に行きつくわけではなくて、凡庸な所にぶつかってるんです。
それでも脳内壁打ちをやっていると、段々とコツが分かってきます

地道な積み重ねこそが、クリエイティブへの扉につながるのかもしれません。

まとめ:創造の世界へ飛び出そう!

▲すべてを出し切った渡辺編集長と笑顔の両ファシリテーター

ここまでの渡辺編集長のコンテンツ論や考え方をまとめてみます。

  • 素材をどう調理するかによって結果は最大10倍変わる
  • 読まれる記事のためには「CTR」と「シェア」の最大化を意識する
  • 「普通からの逸脱×感情刺激」が鉄板法則
  • 良いライターは「主観と客観のバランスが良い」
  • 自分の好きを発見するには「名詞ではなく動詞で考える」
  • クリエイティブな人とは「いろんなジレンマを抱えながらそれを乗り越えようとしている人」。脳内壁打ちを続けるとコツが段々と分かってくる

渡辺編集長は、取材のときに「成功のイメージと、ちょっとの勇気を大事にしています」とも話していました。「脳内壁打ち」を粘り強く続けながら、妥協せずにチャレンジし続けることが成功を引き寄せるかもしれません。

そこに、わずかな勇気が加われば創造への道が開けるのではないでしょうか。
「渡辺感覚」を取り入れて、これからの時代を乗り越えていきましょう!

\渡辺編集長のおすすめリンク/

渡辺編集長はTwitterVoicyを通じて情報を発信中!

さらにライター・編集者へオススメなnoteもありますので、ぜひ参考にしてみてください♪

新R25編集長が実践している「超こだわりのインタビュー記事作成術」

“普通の企画”を輝かせる3つの手法【凡人のためのアイデア発想法】

記事のタイトルは「2つの意識」を持つだけで劇的に良くなるという結論に行き着いた

《ライター:二海 陽一(ふたみよういち)》
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