株式会社日本HP×新しい働き方LABの共同企画「私をつくるクリエイティブ」。
2020年8月には、クリエイターの活動を後押しするコミュニティ「Creative LAB」がスタートしました。Creative LABの発足を記念し、クリエイティブをテーマに開催されたYouTube対談「Creative LAB On Air」を配信しています。
2021年8月12日(木)に、8回目となるトークライブが開催されました。
今回のテーマは「リモートワーク」
2020年から一気に加速したリモートワークの導入。通勤地獄という日本の文化ともいえる状況から開放された一方で、リモートワークについて様々な悩みを抱えているワーカーは少なくないのではないでしょうか?
ナビゲーターは、今年からフリーランスになったCriative LABの田村尚子さん。
今回はゲストに、リモートワークがライフワークだという株式会社日本HPの宮野安理さん、悩めるリモートワーカー代表として、サテライトオフィスとの多拠点でのリモートワークを行っている経営者の生畑目星南さんと、多拠点で会社を経営しつつ生活をしている角田尭史さんをお迎え。
宮野さんの話し方は人を惹きつける魅力があり、ずっと視聴していたいと思える1時間でした。
リモートワークやビジネスへの取り組み方について、すぐに実践できるテクニックやアイデア、メンタルの保ち方のなど、さまざまなアドバイスが満載。
企業に勤めている人からフリーランスまで、すべてのワーカーがグッとくる内容をハイライトでお届けします!
【ゲスト】
▼ 宮野安理さん
2010年、株式会社日本HP に入社。
Eコマース事業本部 リテールビジネス本部 本部長、HP公認団体Women Impact Network Japan代表
NBA ボストン・セルティックスの大ファンで、各所にボストン・セルティックスグリーンがちらほら。ご自身も認める完璧主義のため、身体を壊した経験からライフワークバランスと、働き方を見直し今のスタイルを確立してゆく。コロナ禍以前からリモートワークを実施しているため、現在リモートワークで悩めるワーカーにも経験から寄り添えるリモートワークスペシャリスト。
▼ 生畑目星南さん
SENA株式会社代表取締役
ビズタスク~助けるビジネス、未来にプラス~を運営
横浜の本社の他に、南伊豆にサテライトオフィスを構え、多拠点でのリモートワークを実施。
ランサーズ:https://www.lancers.jp/profile/Seinaym
ホームページ:https://biztasq.com/
Twitter:https://twitter.com/SeinaNabatame
note:https://note.com/seina_nabatame/n/nf7c43af8ef9b
▼ 角田尭史さん
株式会社midnight sun代表取締役 株式会社しもズブ取締役/多拠点生活者
現在は愛媛と静岡の2拠点で仕事と生活を送っている。
ランサーズ:https://www.lancers.jp/profile/sumichan11
ホームページ:https://shimozubu.studio.site/(株式会社しもズブ)
ホームページ:https://midnightsun.jp/(株式会社midnight sun)
【ナビゲーター】
▼ 田村尚子さん
Criative LAB/フリーランスのオンライン秘書
2021年、会社員からフリーランスに転向。現在は新しい働き方LAB第一期研究員としても活動中。
ランサーズ:https://www.lancers.jp/profile/705tmr
Twitter:https://twitter.com/705Tamura
note:https://note.com/nao_suke0814
目次
コロナ禍前からリモートワークを実践
まずは、宮野さんがリモートワークを導入したきっかけを伺いました。
日本HPでは、コロナ前から働き方を個人に合わせるということを推進、リモートワークを週4日とってもいいという制度がありましたが、制度設立当初は活用していなかったそうです。
また、宮野さんは自身も認める「仕事もキャリアアップも趣味もすべて頑張りたいタイプ。」これまでは、ガッツで乗り越えてきたそうですが、キャリアと人生のステージが変わったことで、すべての事にかける時間が無くなり、パンクしてしまったとのこと。
この経験を元に「働き方を考えよう!」と、今まで活用してこなかったリモートワークの制度の活用を始めたのだそうです。
宮野さんが考えるリモートワークは、あくまで働き方の一つの選択肢なので、リモートワークをすることがゴールではなく「リモートワークをどう活用するか?」がゴールとのこと。
宮野さんは時間を創出するためにリモートワークの活用を始めたそうですが、リモートワークを始めた当初、時間の効率化ができたのは「通勤時間」だけだったとか。
リモートワークを始めてみると、「集中できない」「いい環境が作れない」「時間を創出できない」という現実に直面し、リモートワークをツールとして自分の仕事に活用するためにはどうすればいいか?と、効率化にチャレンジしていったそうです。
うまくいかない現状に「なぜ?」と考えることでリモートワークがツールだということに気づけたのだと感じました。
リモートワークでなくても活用できる!仕事の進め方
ここからはゲストの角田さんと生畑目さんからの質問に対して、宮野さんにズバズバと回答いただきます!
「仕事とプライベートの切り替え」方法はどうしたらいいですか?
ゲストの角田さんからは、「仕事とプライベートの切り替え」について質問がありました。
角田さんのお悩みは、仕事とプライベートの切り替えができず、寝る直前までタスクチェックをしてしまうことだそうです。家で仕事をする人のあるあるですよね。
宮野さんからは、仕事に関わる時間の使い方を改善するための、具体的な方法をアドバイスしていただきました。
宮野さんのアドバイス
「仕事は大きく3つに分けられる」
1.自分がやらなくてはならない仕事
2.コミュニケーション(メール、チャット、電話)
3.ミーティング
この3つの仕事の中で重要なのは、1のやらなくてはならない仕事なのですが、実際は2のコミュニケーションに時間が取られている人が多く、メールやチャットが届くたびに返信をしている人が多いのではないでしょうか?とのこと。
それでは、1のやらなくてはならない仕事に集中ができませんよね?と、宮野さん。
心当たりのあるメンバーはもちろん、私も大きくうなずきました。
コミュニケーションの時間的コストに対する解決方法は、コミュニケーションの時間をあらかじめ作り、その時間にメールやチャットを返信する。それ以外はポップアップも見ないようにする!という画期的なもの。
すぐ返信しないと心配になってしまう、私も含めた参加者のみなさんに対して、
相手もこの時間にしか返信がないことに気づけば期待しなくなりますよ
とのこと。実は、裏方で配信を担当されているシモカタさんも実施されているのだとか!
コミュニケーション時間のアイデアについて2つ目のポイントとして「人は1つの作業を止めて次の作業に集中するまでにだいたい20分位かかる」というアメリカの研究結果があるのだとか。
メールやチャットの通知に返信を続けると毎回20分ずつ集中力のロスが続くという、驚きの情報を教えていただきました。
社内での立場や仕事上の立ち位置を考え、私はムリかな~と思っていたのですが、20分のロスを考えると…実践してみたいという気持ちになりました。
「アポイントメントの時間設定」はどうしたらいいですか?
続いて生畑目さんのお悩みは、ミーティングなどアポイントメントの時間設定が難しいということ。どうやら、前のミーティングが伸びてしまい、約束しているミーティングに遅れて入ることも多いのだそうです。
このお悩みに宮野さんは、相手にもよるそうですが、だいたい1回50分でお願いするのが良いとのこと。だいたい1時間に伸びることもあるそうですが「1回50分でお願いします」と提案すると、意外にすんなり受け入れてくれるのだとか。
50分という時間設定を決めているという事実に、私も含めて皆さん驚いている様子でした。
「集中力を持続させるツール」や「オススメの方法」はありますか?
続いては田村さんから、集中力を持続させるための方法についての質問が出ました。
宮野さんはモニター3画面を活用し、コミュニケーション用と作業用を分けることを意識しているそうです。コミュニケーションのポップアップが見えないようにして作業に集中できる環境を作っているのだとか。
モニターでなくても、タブレットなどでも代用は可能で、コミュニケーションと業務の画面を分けて、各画面に役割を与えることがおすすめだそうです。
また「モニターを増やす」以外で集中力を持続させる方法についてもお話しいただきました。
宮野さんのおすすめは「時間で区切り、休憩を入れること」だそうです。
時間を区切るお話の中で、ひとつ宮野さんが実践しているゲーム感覚でできる作業効率化の提案を教えていただきました。
それは「この資料は50分で作る!」と決めてタイマーをかけること。
これをタイムアタックと名付け、チャレンジをして日々作業効率化できるようにチャレンジされているのだとか。仕事をゲームに変える発想がすごいと思います!
そこから話はタスク管理についてに移りました。宮野さんいわく
タスク管理はtodoに時間を入れてスケジューリングすることが重要
だそうです。
todoのみだとより好みをしてしまうため、しっかり時間に入れ込むことがポイント。タイムスケジュールに落とし込むことで「何からやろうかな〜」などと色々考えずに、すぐにタスクに向き合えるのでおすすめだそうです。
「タスクの優先順位」はどうやって決めたらいいですか?
生畑目さんは、タスクの優先順位として30分くらいで終わるカンタンなものから始めて、午後に大きめの案件に取り掛かるそうです。しかし結局午後の時間帯で終わらず、残った作業を夜中までやってしまうことが多いのだとか。
タスクの順番について宮野さんのアドバイスは、生畑目さんの実践している方法とはまったく反対のものでした。宮野さんいわく、
タスクは大事で時間がかかるものからやるのがポイント
大事な仕事はその日のハイライトなので、人はハイライトが終わらない限り、他の30分タスクを終わらせても達成感を得られないのだそうです。
まずはハイライトを終わらせて達成感を得て、次の作業に移るのがもっとも効率的とのことでした。モチベーションも重要なポイントなんですね!
この他にも、宮野さんがタスクのスケジューリングについて工夫していることを具体的に教えてくださいました。
・1週間くらいかかる仕事の場合、最後に確認の時間を確保するために前日に終わらせるようにし、その作業は何日かに分けるようにする。
・1日の仕事の中に「重要なハイライトの仕事」「やっつけ仕事」「コミュニケーション」を入れてスケジューリングする。
宮野さんは、スケジューリングすることがめんどくさいそうですが、スケジュール通りに進むと1日爽快に過ごせる!!と実感されているのだとか。
まずは「コミュニケーションの時間確保」と「重要な仕事からスケジューリング」からチャレンジしてみましょう!
当たり前を当たり前にしない!「マネジメント管理」
さて続いては、角田さんより「リモートワークとオフィスでのマネジメントの違い」についての質問が出ました。
まず、宮野さんが気をつけているポイントは「共通言語」についてとのこと。社内での当たり前を当たり前にしない、ということがとても重要だそうです。
例えば「今日中」という言葉は人によって違いますよね。と宮野さん。
退社時間の17:30と考えている人もいれば、今日中なので23:59の人もいるでしょうし、次の日の勤務時間までと認識する人もいます。こういう認識のズレは、空気が読めるオフィスでは相手の顔色などを伺うことができますが、リモートワークの場合は空気を読むことはできません。そのため、誰にでもわかる言語「今日の◯時」と伝えるべきとのこと。
2つ目のポイントはゴールのすり合わせ、つまりは「期待値を明確に伝える」ということだそうです。
具体的には「この期間内にこういう事を期待している」と伝え、できなかった場合にどのポイントで引っかかったのかを確認し合うのだそうです。
また、業務効率化のポイントなどを同じチームメンバーに伝えることで、チーム全体の業務効率化がアップするようにしているのだとか。ミーティングではチームメンバーから新しい効率化の方法などの情報を得ることもあるそうです!
「リモートワーク環境づくり」でオススメのアイテムや工夫は?
ここからは「リモートワーク環境づくり」についてのお話です。
まずは生畑目さんより「リモートワークの環境づくりで、身体へのケアや、負担の軽減ができるモノを知りたい」という質問が出ました。
宮野さんのおすすめは「高さを変えられるモニター」です。モニターを目線の高さにするだけでも、身体の負担は軽減されるのだそうです。
高さを変えられないモニターをお持ちの方でも「”アーム”という高さを変えられるアイテムがありますよ」とのこと。
続いて「お子さまのいる家でのお仕事環境」について話が移りました。
いつもは不在のはずの家族がいる事で、家族の生活ペースも変わります
と宮野さん。これは会社の方のアイデアだそうですが、パパがリモートワークで家にいる時、仕事の時間はお子さまに向けて決まった音楽を流しているとのこと。
「この音楽がなっている間はパパお仕事だよ」と伝えてあり、音楽が止むとパパのところに行ってもいいという決まりなのだとか。とてもわかりやすいですよね。
さらに「休憩時間」の取り方について、宮野さんは「50分仕事して5分休憩というスタイル」を取っており、「5分休憩のためのメニュー」を作っているとのこと。
(ちなみに、角田さんはその日も休憩を取るのを忘れていたそうです。笑)
ちなみに宮野さんの最近の5分休憩リストはこんな感じ。
・好きなチームの動画集を見る
・好きな音楽を聞く
・ストレッチをする
田村さんから「休憩メニューを作るだけでも楽しそう♪」という声が上がりました。
「リモートワークとはツールの一つ」
宮野さんのお話が楽しく、大きな学びになりました。しかしもっとお話を聞きたく、消化不良気味のメンバーを代表して、最後に田村さんが鋭い質問を投げかけました。
「リモートワークは宮野さんにとって一言でどういうものでしょうか?」
このハードル高めな質問に思わず笑いがこぼれるメンバー。宮野さんは「困ったな~」と言いながらも、ハッキリと「リモートワークとはツールの一つ」と明言されました。
リモートワークに振り回されるのではなく、ツールは自分が使う。主語を自分にすることで、リモートワークというツールに振り回されなくなります
思わず拍手をしてしまった田村さん。
私たちの悩みや不安を汲み取ってアドバイスしてくださった宮野さんと、私たちリモートワーカーの声を代弁してくださった生畑目さん、角田さん、田村さんに感謝の気持でいっぱいです。
この対談で今日からのリモートワーク、ちょっと変わるぞ。と思った有意義な時間でした。ありがとうございました。第2回を期待しています!
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《ライター:akibird39》