「Try Creative」は、新たにクリエイティブにチャレンジしようと考えている人たちの背中をそっと押す、そんなイベントを目指しています。
今回は、2022年9月5日に開催された
第4回TryCreative!∞(むげん)プチプチ開発者・高橋晋平さんに学ぶ!突き抜けたクリエイターになるための「妄想スキル」の様子を、ハイライトでお伝えします。
第4回目のテーマは「独創的なアイデアにはなぜ妄想が必要か」。
おもちゃクリエイターとして活躍されている高橋晋平さんをスペシャルゲストにお招きして、
- アイデアにおける妄想の重要性
- 妄想を仕事へ発展させる方法
- アイデアのヒントの見つけ方
など、他では聞けない晋平さんの発想力の原点や実体験に基づくお話を伺いました。
クスッと笑わせてくれる晋平さんのトークと人柄に魅了され、終始アットホームな雰囲気の中、どの話も楽しく耳を傾けずにはいられません。
アイデアづくりに悩むすべての人必見!
アイデアづくりや働き方、生き方までもを柔軟に捉えられるヒントが満載です。
【ゲスト】
株式会社ウサギ代表、おもちゃクリエイター/高橋晋平氏
2004年株式会社バンダイに入社、イノベイティブトイの開発に携わる。2014年株式会社ウサギを設立。国内外累計335万個を発売し、第1回日本おもちゃ大賞を受賞した「∞(むげん)プチプチ」を初め、これまで100点以上のおもちゃの企画開発、マーケティングに携わる。2013年TED×TOKYOに登壇。
【ファシリテーター】
CreativeLABコミュニティマネージャー/滝沢紘子氏
無駄研究家。321inc所属ライバー。新しい働き方LABの研究員制度にて、ライブ配信に挑戦中。オンラインイベントの企画が得意。オンラインコミュニティ「無駄団」の立ち上げ・運営にも携わる。
ランサーズ株式会社チーフエバンジェリスト/根岸やすゆき氏
フリーランスのコピーライター、上場企業プロモーション本部長、ランサーズ取締役CMOを経て現職。日本中をワーケーションしながら、新しいワーク・ライフスタイルの啓蒙を促進中。高橋晋平氏のファンで、今回のイベントは根岸氏の強い希望で実現。
【司会】
CreativeLABコミュニティマネージャー/廣澤香菜氏
出産を機に10年以上働いたエステティシャンからWebデザイナーに転身。2020年には、CreativeLABのイベント司会をスタートし、イベントの企画やサポートも行っている。
目次
アイデアになぜ妄想が必要か
妄想とは
晋平さんの考える妄想の概念と妄想の重要性の話が面白いので、ぜひ皆さんに聞いてほしいです。
妄想は「こうなったらいいなあ」とただただ考えること。「亡くなる」と「女」で成りつ立つ「妄」という漢字は、女性のことで夢中になりすぎて我を亡くすくらい強い欲求を表すという一説もあるくらい。わかりやすい例でいうと、「あの子俺のこと好きにならないかな」とただ考えているだけみたいな。
空想は、いろいろなことに思いを巡らすことで、欲求と結びついているわけではないんですね。空想の中に、とにかく強い欲求があるのが妄想です。
妄想の役割は欲求に気がつくこと
妄想することは「〇〇が欲しい」「悩みを解決したい」と考えること。妄想することは、自分の欲求に気がつく行動なんです。企画は「やりたい」「叶えたい」から始まるので、妄想すると自分の欲求に気づき、働き方や生き方のヒントが見つかるよっていうのが僕の伝えたいことかな。
考えているだけの妄想が、アクションへ移すと仕事に発展する、世の中と繋がる、なんて面白いですね。
アイデアや企画という言葉だと、グッドアイデアや実現性、仕事との関連を言われてしまい、考えることが億劫になる人が多いんですよね。でも妄想って、ただ思っていることから始めてもいい。何もしなくてもいいんです。活動しないと苦しいタイミングがあったときに妄想の実現に向けて1歩踏み出せると、強い行動力になると思います。
いいアイデアは欲求から生まれる
アイデアのヒントは社会課題ではなく自分にある
自分の経験からアイデアが生まれることが多いなんて面白いです!
アイデアって、誰かの役に立つ工夫や人を幸せにする新しい考えですが、1番最初に役に立てる相手、1人目のお客は自分であるべきだと思っています。それがアイデアを具現化する1番の方法ではないでしょうか。
社会全体の情報を集めて見つけた課題を解決しようとしても、自分と無関係だと、当事者を幸せにするものを考え切れない。いいアイデアは自分事のものだから、アイデアの種は自分の「今までの人生」や「欲しいけどないもの」にヒントがあります。
株式会社バンダイに入社した経緯も晋平さんの経験が結びついているのですよね。
そうそう。おもちゃ業界に入ったきっかけは、大学時代に入った落語研究会で人を笑わせる魅力に取り憑かれたこと。仕事も人を笑わせる仕事をしたいと思ったんです。落語研究会に入った背景には、高校時代まで暗くて人前で話せなかったというコンプレックスがありました。コンプレックスの裏側には、芸人やクラスの人気者が人を笑わせていてうらやましい、一度でいいから人を笑わせてみたいという強い欲求があったんですよね。
落語研究会で人を笑わせる経験ができたことは、とてもインパクトが大きかったんです。感動するくらい嬉しくて、今に至るまで人を笑わせていたいと思っていますね。
「人を笑わせたい」が原点の晋平さんの商品開発とは
晋平さんはご自身の欲求から商品を開発されていますよね。
「人を笑わせたい」「人を笑わせるおもちゃを作りたい」との思いで入社したので、最初は見たら笑えるおもちゃを企画してはボツになっていました。たとえば、坊さんのフィギアが逆さになって回転するとか(笑)
シュールですね(笑)
自分を客と考えていなくて「自分は商品を買わないけれど周りは面白いでしょ?」というズレや商売と無関係な考えがあったんですよね。そのうちに、自分が客として購入したいものが売っていい商品だと気づいていきました。そして、おもちゃが勝手に笑わせるのではなく、おもちゃを使った人がそれを通して人を笑わせる商品こそが人を笑わせるおもちゃだと気づいてから、うまくいきましたね。
妄想を仕事へ発展させる方法
誰かがやり方を知っている
妄想を仕事に変える考え方や工夫はありますか。
自分の力で立ち上がってパワーを出すよりも、妄想を10人くらいに話すことがおすすめです。誰かがやる方法を知っていたり、何かに誘ってくれたりするんですよ。
確かに今回のイベントも「晋平さんに会いたい」と言いまくっていたら、声かけてみるよ!と言ってくれる人が出てきました。
一人が持つ情報量は限られているので、どんどん人に言えばいいんです。その時の本気感が大事で、本当にやりたそうだったら、なにか紹介してもらえるかもしれません。
人に話して好転!∞(むげん)プチプチ誕生秘話
∞(むげん)プチプチも、最初は予算もなく企画が通らなかったんです。でも、あるとき他の生産メーカーの開発担当者と「プチプチ作れると思うんだよね」と雑談していたことがあって。その人が転職するときに、なんと∞(むげん)プチプチの試作品を勝手に作って置いて行ってくれたんですよ!予算がなくても試作品が手に入り、それを元にプレゼンができるようになりました。
プレゼンでどう上司を説得したのですか。
何の裏付けもなく、流行ってもいないプチプチなので、やる理由がわからないと課長に反対されていました。ですが、∞(むげん)プチプチという名前も決めていたし、後押ししてくれた人もいて、諦めなかった。これまでと明確に違う本気度が伝わって、課長が「じゃあ、100回に1回プチじゃない音が出るようにして」とヒットを決定づけるアドバイスをくれて。
部長プレゼンでは、心理学上のアフォーダンス理論(※)を根拠に、プチプチの形を見ただけで人は触ってみたくなるため購入すると説明しました。資料にもプチプチをつけたら、皆触るんですよね。結果的に部長が「面白いからやろう!」と言ってくれました。
※アフォーダンス理論:「与える・提供する」という意味の「アフォード(afford)」という言葉から名付けられた造語で、物が持つ形や色、材質などが、その物自体の扱い方を説明しているという考え方
弱みは強い!
弱みはオリジナリティになる
晋平さんのお話で、オリジナリティの見つけ方は自分の経験にあるというのが発見でした。
今あるものの良いところを真似たり、なぜ好きなのかを学んだりしながら、そこに自分の得意なことや、やりたいことを乗せるのがオリジナリティの最高峰じゃないかな。
オリジナリティって自分の弱みにヒントがあります。強みが欲しいと思いがちだけど、弱みや悩みを克服するエネルギーって、すごく強いんですよね。加えて、弱みは人から愛されます。僕は人を笑わすことや喋ることが好きだけど、ずっとできなかったら、今一生やりたいと思っている。
弱みは愛されるっていいですね。
強みと弱みの4象限を知ろう
強みと弱みの研究もされているという晋平さん。
強みと弱みはそれぞれ「向上させたいか」「放置していいか」の縦軸と横軸で、4つに分けられるそうです。
強みと弱みの4象限が自分にとって何かわかるとヒントになります。
・より向上させたい強み・・・自分の個性や武器としてわかっているので、十分幸せ。
・もう伸ばさなくてもいい強み・・・過去の話なので放置していい。
・克服したい弱み・・・晋平さんのいうお笑い。克服したらどんなに嬉しいか。爆発力となる可能性やコンテンツ化できる可能性がある。
・放置していい弱み・・・個性でもありこのままでもいい。克服しようとすると、これもまた強い力を持つ。
弱みを克服したいからこそ、思いや妄想力が強くなることを感じました。
ヒントは今の悩み、弱みにあります!またお会いしましょう。
妄想して欲求に気づくことから始めよう
晋平さんのお話をお聞きして、
- アイデアには、自分の欲求に気づく妄想が大事
- 自分の欲求や経験が解決策をもっとも具現化できるいいアイデアになる
- 妄想を本気で10人に話すと人からの誘いがある
- 自分の弱みにアイデアやオリジナリティのヒントがある
など、アイデアづくりにおける妄想の重要性を理解すると共に、アイデアを出すことを自分事として捉えやすくなりました。
アイデアを出すことへのハードルが下がった方、妄想してみよう!と晋平さんに背中を押してもらった感覚になった方も多いのではないでしょうか。
晋平さんはSNSでも日々情報を発信中!
役に立つ情報やアイデアづくりのヒントをぜひ見つけてくださいね。
▼Twitter:https://twitter.com/simpeiidea
▼note:https://note.com/simpeiidea/
▼Voicy「高橋晋平の1日1アイデア」:https://voicy.jp/channel/1883
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《ライター:すみれいろ》
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