日本HP×新しい働き方LABの共同で進められているCreative LAB( #私をつくるクリエイティブ )。CreativeLABでは、クリエイターになりたい人やステップアップしたい人に向けて、さまざまな企画やイベントを実施しています。
3月13日にフリーランスの祭典「LANCER OF THE YEAR2021」が開催されました。
今回はこちらのイベント内で企画された「クリエイターって何?ーあなたはクリエイティブ?YES or NO?ー」のパネルディスカッションを記事にまとめてお届けします。
《ゲスト》
▼沼田 綾子さん
株式会社日本HPコンシューマ事業本部長。製品部担当。
大学卒業後、IT企業に就職し、営業を4年間担当。その後、コンパック(2002年日本HPと合併)にEC事業部のマーケティング担当として入社。コンシューマーをメインにデジタル系のマーケティング、ダイレクトマーケティング、トレードマーケティングなどの領域で活躍し、17年から現職。2児の母でもある。
沼田さんのインタビュー記事はこちら。
https://creativel-a-b.jp/hp/hp-numata/
▼石橋 博明さん
株式会社日本HPコンシューマ事業本部、事業経営部部長。
個人向けPC事業の事業経営を担当。ブランディング・マーケティング・デジタルマーケティグ・オムニチャネル・オムニコマースをミックスして、デジタルトランスフォーメーションの実現に挑戦中。愛称はバッシー。
石橋さんのインタビュー記事はこちら。
https://creativel-a-b.jp/hp/hp-bassy/
《モデレーター》
▼シモカタ セイジ
新しい働き方LAB和歌山キャンパスコミュニティマネージャー
アパレル→インテリア→事業立ち上げの請負人という職業人キャリアを経て、ブランディングとデザインを中心にクライアントの魅力を引き出すフリーランスとして活躍中。
シモカタさんのインタビュー記事はこちら。
https://creativel-a-b.jp/hp/seiji-shimokata/
目次
クリエイティブは身近なところにある
まず「そもそもクリエイティブとはどういうことなのか」についてお聞かせください。世間一般のイメージでは、動画やデザインなどと認識している人が多いと思うのですが、いかがですか?
私たちの働くHPは、アメリカの会社なのでよく海外のチームとも仕事をします。海外社員からみると、日本人は「すごくクリエイティブだ」と思われているんです。
日本人の工夫やチューニング、きめ細かい気遣いなどを含めてクリエイティブだと評価されています。
たとえば、お弁当も。小さな箱の中にたくさんのおかずが入っていることが、クリエイティブだと捉えられていて面白いです。
そう考えると、身近なところにもクリエイティブはあるのかな、と感じますね。
身近なところでいうと、メールなどもクリエイティブなのでは、と思います。
メールの一文だけでも、文章の中身や言葉遣い、表現など。人の性格が表れていますよね。
そのように考えると実はすべてがクリエイティブなのではないでしょうか。
なるほど、たしかにそうですね。沼田さんがおっしゃっていたように、日本は世界で最もクリエイティブな国だとアドビ株式会社さんの調査結果でも証明されています。
一方で、日本人は自分たちのことをクリエイティブだと思っていないケースが多い。
それはなぜだと思いますか?
日本と海外では、言葉の捉え方が違うと思います。
海外では、iPadで絵を描く人も「クリエイター」と認識しています。もし、日本でそのような人に「あなたはクリエイターですか?」と聞くと違うと答えるんです。
日本では、「クリエイター」という言葉に対してプロフェッショナルな芸術を生み出す凄い人と感じている場合が多いのかなと思います。
たしかに。クリエイターと名乗ることはハードルが高いと感じますね。
それでも海外から見るとクリエイティブだと思われている。そのギャップが埋まれば、「自分もクリエイターだ」と言える人が増えていくかもしれませんね。
発信し人と繋がることは、他人を癒やすことにも繋がる
今回のテーマである「あなたはクリエイティブ?YES or NO?」を考えたときに、実はだれでもクリエイティブな人になれる、または、すでにクリエイターなのではないかと思えてきました。石橋さんはどう思われますか?
海外と日本とでは、クリエイティブに対するイメージも違います。海外社員が認識するクリエイティブとは、発信などアウトプットすることすべてにおいてです。
だけど、日本人はクリエイティブは何か特別なものを作ることだと思っている。スタンスがすでに違うなと感じます。
クリエイトする(何かを作る)ことに、「人」が付いてクリエイター。単純に「作る人」という意味で海外の人は使っています。
私たち日本人もそう捉えて良いのではないかと思いますね。動画や絵、文章、メールなど自分が生み出すものすべてがクリエイションなんです。
なるほど。
以前「クリエイション」について考えていたときに、俳優のイーサン・ホークさんがTEDでお話されていた動画を見ました。「自分を表現し、人と繋がることがクリエイティビティなのだと、それが人を癒やすことにも繋がる」とおっしゃっていて。
たしかに、在宅勤務が長引き誰にも会わない状況下で、人の作るものや表現するものに癒やされ落ち込まずに済みました。色々な辛い状況にあっても、人と繋がることで支え合うことができるんですよね。
▼イーサン・ホークさんがTEDで「クリエイティビティ」について語られた動画はこちら。
出歩かなくなって人との接点が減り、どこで人と繋がれるかというと、SNSやメールになる。そこでちょっとした人の気持ちの動きなどに触れられるのは良い部分ですよね。
石橋さんは、人が発信したものをみたとき率直にどう思われますか?
コミュニケーションの感覚でみています。発信している人がどう考えているのか、どういう人なのか。発信することは、つまりその人のブランディングにもなるんですよね。
ちょうどコメント欄に、「石橋さんが高校生の時に100回フラれた記事を見つけました」ときています(笑)
あ……はい。恥ずかしながら。
100回はすごい(笑)
これもコミュニケーションをとりながら、なんとか上手くブランディングをしていくというクリエイティブです!(笑)
▼石橋さんが100回フラれたお話はこちら
(たとえフラれたことであっても)色んなことを発信することで生まれる会話があると考えると、実はみんなクリエイターなのかなと感じますね。
クリエイティブとはチャレンジすることであり、コミュニケーションをとることでもある
「クリエイティブ」は、才能のある限られた人だけのものではありません。
最初は何事もスムーズにはいかない。まず、勇気を出して一歩踏み出すことが一番大事なのではないかと思います。
あとは、常に世界を意識することですね。日本のビジネスは一億人の世界で起きていますが、世界をみると、何十億人もいる。
そして世界の人は、言葉がアウトプットだと思っています。なので軽く1歩を踏み出している。アウトプットしてだめだったら、次違うことをやってみようとするので、とにかくトライの数が多いんです。
コメント欄に「クリエイティブ=チャレンジ?」と来ています。
その通りだと思います。
たとえば、会議などでも「発言しない=考えていない」と思われてしまう。「察してください」という姿勢は、グローバル化することによって難しくなります。表現する、自分の思っていることを伝えようと努力する。つまりアウトプットすることは、とても大事になります。
たしかに、そうですね。
企業の中にいると、自分たちのサイトや製品を客観的にみられなくなってしまいます。これは「フレッシュアイ」というのですが。
なのでお客様と近い視点でみて、仕事を発注する企業側がやりたいことの先を一緒に考えて意見をいただけるフリーランサーさんはとてもありがたいです。
クリエイターはコミュニケーションのプロであるということを忘れてはなりませんね。
そうですね。今HPでも、フリーランサーの人たちとお仕事させていただいてますが、人の生活視点で教えていただけると、はっと気付かされて良いものが作れると感じています。
必要な情報を得られることもクリエイティブなのではないかと思います。映像や文章だけではなく、コミュニケーション自体がクリエイティブなのではないかと。
クリエイティブを発揮し幅を広げる3つのこと
クリエイティブの幅を広げるために、日本HPさんとして大事にされていることなどありますか?
クリエイティブの幅を広げるために大切なのは、①新しいことを学び続けること ②コミュニティの中で情報を得る ③道具、環境を整える の3つではないでしょうか。
今の時代、スキルアップは続けていかなければならないと思います。あと、コミュニティと繋がるのも大切です。人は一人だと視野が限られてしまうので。
自分が集中し心地よく働ける道具や環境も必要ですね。
▼日本HPのクリエイター向け特集ページはこちら
できないときに重要なのは、打席に立ち続けること
4年前、英語がまったくできなかったときに、いきなり上司から海外の人の前でプレゼンしろと言われたんです。1時間与えられて必死で英語を並べて説明するも、聞いてる海外の人はぽかんとしてるし、上司は苦笑いしていて。
終わった後に上司から言われたことは、「できないのは分かってる。重要なのは打席に立ち続けることだ」と。
打席に立ち続けることで学びの要素が見えてきて、少しずつ成長できてると感じます。
そうですね。ベンチからみるマウンドと打席からみるマウンドは全然違う。なので、打席に立たないと気付けないこともたくさんあります。
踏み出して、やり続けて、どこがダメだったのか考えトライするのが大切ですね。
なので、フラれることも良いですよ。最初はつらいですが、回数が増えてくると失敗も意外に大したことないなと思えます。(笑)
つまり今回の結論は、「フラれろ!」ということで大丈夫でしょうか(笑)
(笑)
とはいえ、分かっていても勇気が出ず、打席に立てない場合もあります。
そんな時は、最初のきっかけとして誰かに押し出してもらうといいでしょう。逃げられない場所にいくと逆にスッキリします。
そうですね。人は自分でリミットを決めてしまうので。
私も人に押し出されて今のポジションで働けています。
【Q&Aコーナー】
コメント欄に質問が来てるのでお答えいただいてもいいですか。
「やりたいことをどのように見つけましたか?」との質問です。
やりたいことや大切なことは基本的にドラマから学んできました。ドラマを見てあまり深く考えずにとりあえずやって失敗しながら生きているタイプです。
つまらなくなったら、面白いことをなんとか見つけだして楽しくやっています。
理由は後付けして。
すごい(笑)
沼田さんはどうですか?
まず与えられることは、やりたいことではなくて、やれることだと思っています。やれることを続けていると、やりたいことに繋がっていく。
やれることとやりたいことは、そんなに離れているわけではないなと。最初から見えているものだけがすべてではないと思います。
2つめの質問です。
「沼田さんと石橋さんがこれからやっていきたいクリエイティブとはどのようなものですか?」
やはり動画は外せないと思います。情報量も一番多いですし。ただ、デジタルだけではなく、オフラインでの実物の迫力や感動を失ってはいけないとも思っています。
世界の色んな人たちが幸せになるビジネスモデルや戦略を考えていきたいですね。
ビジネスをクリエイションしたいです。
最後の質問です。
「仕事を続けていく上で、壁にぶち当たったときにどのように解決策を見出していますか?」
色んな人と話をして仲間になってもらい、アイディアをもらうようにしています。自分の力で難しい場合は、壁を乗り越えられそうな人にお願いしますね。
「どうしても上手くいかない」ときは、メンタルのコントロールが大事になってきますよね。歴史観点でみると今の悩んでいることは大したことではないと思うんです。
「一見悪いことに見えているけど、もしかすると良いことに繋がるのかもしれないな」と、あまり右往左往せず、視点を変えると突破口が見えてきます。
たくさん良いお話が聞けました。もっと聞きたいところですが、そろそろお時間となりました。
沼田さん、石橋さん。本日はどうもありがとうございました!
CreativeLABでは、クリエイターのみなさまのクリエイティブ活動をバックアップできるよう、より良いコミュニティづくりを目指しています。
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《文=早川きえ》
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