「“want”の柱を持つと人生が豊かになる」日本HP 宮野安理さんの自分らしく働く秘訣

2021-10-07

日本HP×新しい働き方LABの共同企画で進められているCreativeLAB(#私をつくるクリエイティブ)では、クリエイターになりたい人やステップアップしたい人に向けて、さまざまな企画やイベントが実施されています。

今回は、Creative LABを支えてくれている株式会社日本HPの宮野安理さんにインタビュー。リモートワークのスペシャリストとして数々のアドバイスをしてくださった宮野さんは、なんと充実したキャリアを築くコミュニケーション・ワークライフバランス・チャレンジの達人でもありました。自分らしい働き方を模索する方々へのヒントが散りばめられた必見の内容です!

■□■□宮野 安理(みやの あんり)さんプロフィール■□■□

株式会社日本HP Eコマース事業本部 リテールビジネス本部 本部長/HP公認団体Women Impact Network Japan代表。ホテルマンとしてキャピトル東急ホテルやリッツカールトン東京で勤務。日本HPには派遣社員として入社。4年後に正社員、2019年より現職を務める。女性マネージャー&リモートワークスペシャリストとして注目を浴び、インタビューも数多く受ける。好きなものはNBAチームのボストンセルティックス!

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■【こども時代ーカナダ留学】”want”を伝えるコミュニケーション技術

ーーホテルマンや日本HPの営業職として高い成果を挙げられ、とても活発でエネルギッシュなイメージの宮野さんですが、子どもの頃からコミュニケーションが得意だったんですか?

それが、みなさんに「ウソでしょ!?」って言われるんですが・・・すごくコミュニケーションが苦手だったんですよ。「自分の考えは自分のもの」という意識を強く持っていたせいか、周りにどう思われるのかを気にして、どう話しかけていいか分からなかったんです。小学生の頃は大のNBAファンである母の影響で、好きだったNBAチーム・ボストンセルティックスのことばかり一人で考えていました。

ーー転機はいつ訪れたんですか?

高校時代のカナダ留学ですね。カナダではクラスルームはなく、大学のように授業毎にクラスが変わるんです。だからとにかく人と喋るのが大変なんですよ。クラスに入るなり、入った先でその人達と話さなくちゃいけない。そこで入りそびれると「ちょっと・・・お昼食べる人が誰もいないじゃん!」ってことになっちゃうんです。

しかも四半期毎に取る授業が変わるので、当然慣れたクラスも終わってしまい「はい、次はこのクラスね!」と、ドーンと区切られてしまうんです。コミュニケーションもコミュニティもすごいスピード感で動いているなと衝撃を受けました。

ーー日本はクラスルームがある分、なんとなく仲良くなったり慣れたりできますよね。

そうなんですよ。でも、この人達はこういう環境下で膨大な量を練習したからこそ、同年代なのにこんなコミュニケーション技術を身につけているのかと納得できました。ただ、そういう状況なので、とにかく自分の意見を言って、自分の思いを伝えないとどんどん置いていかれちゃうんですよね。

ーー気を遣って話しかけてくれる人はいないんですか?

いなかったです。留学当初、うまく入っていけずに一人でいたので、後から仲良くなった友達に「あなた、一人でいるのが好きなんだと思ってた!」って言われました(笑)

カナダでは、一人が好きな人は話しかけないし、友達といたいなら話しかけにいくんですよね。どちらでも問題はないんです。でも、私のように一人でいるけど、一人でいることを望んでいるわけじゃない状態は、本人にフラストレーションがたまりますよね。

ーーそ、そんなときはどうしたら・・・。

自分で自分の望みを言うしかないんです。自分の望み=”want”をちゃんと伝えないと、相手には伝わらないと、このとき学びました。そして、”want”を言えばみんなサポートしてくれるんですよね。「ああ、そう思ってたのね!それだったらこうしたらどう?」って。

こうした経験から、量をかけて練習することでコミュニケーション能力は身につけることができるんだと気づいていきました。

それから私はずっと「コミュニケーションはセンスじゃなくてスキルだ」と周囲に言い続けています。「よく宮野さんはコミュニケーションが得意で、センスがあるからいいよね」と言われるけど、そうではないんです。

ーー日本に帰ってきた時は、またコミュニケーションのズレがあったんじゃないですか?

大学では「めちゃくちゃキツいね」ってよく言われました。英語はストレートな表現が多いですから、日本では当然受け入れがたい人もいますよね。でも、この時はもうコミュニケーションをスキルとして磨き始めた後だったので、じゃあ今度はどうやって調整して、どんな言い方をしたら良いかをすぐに考えられました。

ーーなるほど。状況に合わせて必要な話し方を選択できるのがスキルなんですね。

はい、相手やその状態を見て、言葉を選んで喋るというのが重要だと思ってます。スキルって、他のものもそうなんですけど、常に磨いていかないといけない。そうでないとたまに退化したりもするじゃないですか。なので、ちゃんと使ってデベロップしていかなくてはいけないという考え方に変わりました。

■【日本HP派遣社員】”柱を複数持つ”ワークライフバランス

ーーホテル業界で活躍後、日本HPさんを選んだのはなぜだったんですか?

実は、たまたまだったんです。当時は働く時間の制限などを優先して、派遣社員という働き方を選択しました。まずそれが第一で、何がしたいかという希望はあまりなかったんです。そんな時にご紹介頂いたのが日本HPでした。今振り返るとすごいラッキーな出会いでした。今、めちゃくちゃ日本HPのことが大好きなので。

ーーどんな所が好きになったんですか?

多様性を許容するカルチャーが根付いているところですね。色々な考え方を許容してくれて、全く別の業界にいた私の意見でも「面白そうだね、やってみる?」と言ってくれる雰囲気がありました。

それと、ワーキングマザーや介護、本人の体調不良など、様々な環境にあるメンバーに対して「基本的にサポートするものだ」という考え方が共有されていて、とても働きやすかったです。

ーー入社後、宮野さんに変わった部分はありますか?

働き方が変わりましたね。とにかくチャレンジ、量をこなそう!という傾向があって、完璧主義な所もあり、ワークライフバランスのコントロールや仕事の生産性を高くするというのは苦手でした。

でも、完璧を求めるチャレンジは体力や気持ちが消耗していくんですよね。完璧にできないことなんていくらでもありますから。完璧にできないといけないならそれこそチャレンジできる量が減ってしまいます。なら、とにかくやってみて、転んでもそこからどうしうようかとステップアップさせていけばいいと考えるようになりました。

ーーワークライフバランスをうまくコントロールする秘訣はどこにありますか?

色んな”want”の柱を持っておくことです。”want”の柱が一本の場合、例えば「私は今仕事が楽しいから仕事だけをする!出世したい!」と思っているとすると、仕事だけをしますよね。でも、それだけを続けていると、切り替えができないために疲弊しやすく、うまく行かない場合にポキッと折れてしまいます。

それに対して、仕事にもプライベートにもしてみたいことがあり、コミュニティにも顔出したいし学びもしてみたい・・・と興味関心が一つだけに寄りかからず複数の柱になっていると、一つがうまく行かなくても倒れないですよね。

ーー柱が多いと「アレもできてないコレもできてない」となりそうな気も・・・。

柱ごとに、状況によって強弱をつける必要がありますね。でも、複数の柱があれば、「コレが成功したからいいや」「次はこっちに力をいれてみよう」と視点を切り替えたり、視野を広く保つことができます。

ーーなるほど、では複数の柱を持つにはどうしたらいいのでしょう。

やはり広く興味を持つことだと思います。例えば「今こういうこと学んでいるんだよね」と話している人がいたら、詳しく話を聞いてみましょう。興味が出たら「そのセミナー私も受けに行ってみたい!」と言ってしまってもいいと思います。実際やってみて「あ、自分には合わないな」と思ったらやめちゃえばいいだけの話なので。

仮に合わなかったとしても10年後にやりたくなるかもしれないですよね。やった分だけ視野も興味も広がってますので、その差は後で出てくると思いますよ。

ーーちなみに宮野さんの仕事以外の柱には何がありますか?

ボストンセルティックスですね。自分の中ですごくコアな部分で、私にとってセルティックスは私の分身みたいなものなんです。だから、セルティックスが勝ったときは何よりも幸せ、めちゃくちゃハッピーです。嫌なことがあっても、試合を見て勝ったらそこで一つリセットできちゃいます。もちろん、負けたらもっと嫌な気持ちになるんですけど(笑)

ーー自分じゃないけど、自分が勝ったように感じられるってすごくいいですね。

自分が好きなもの、パッションが使えるものがあるっていうのは幸せですね。ぜひこの記事を読んだ皆さんがボストンセルティックスを好きになってくれたらいいなって思ってます。皆さんの柱にしてほしいですね(笑)

ーーボストンセルティックスの魅力はどんな所にあるんですか?

良いところを聴いてくれますね!まず、ボストンはアメリカの四大スポーツのチーム全てがあって、いずれも人気。そのせいか、ファンの人がめちゃくちゃ熱いんです。

もう一つはチームの変化の歴史ですね。初めてチームのスタメン5人全員を黒人で揃えたのもボストンですし、NBA史に残る変革がありました。もちろん小学生の頃は、バスケが好きで、ただその時のチームが好きなだけだったんですけど。知っていけば知っていくほど、ヒストリカルな魅力にも惹かれていきました。

ーーちなみに、宮野さんにとって今一番、チームで熱い選手は?

36番のマーカス・スマートですね!ボストンのコアでありハートのような選手なんです。ディフェンスやルーズボールといった、華やかではないところでファイトを見せる選手で、ボストンが強いときって、大抵そういう選手がいるんですよ。

ここぞというときに信頼できるハートの強い選手が、私は大好きなんです。仕事で自分が辛いときも、こういう選手のプレーを思い出してますよ。苦しいときどうやって気持ちを切り替えるか、彼らがイメージを与えてくれます。

■【日本HPマネジャー】”パーフェクトより実行”がチャレンジの合言葉

ーー宮野さんは現在マネージャー職についているんですよね。

はい、個人の消費者向けの営業チームのマネジメントをしています。面白いですよ。醍醐味はやっぱり自分のチームメンバーの子が何かを成し遂げたとき、成長したときを一番近くで見られることですね。まさかスラムダンクの安西先生のような気持ちに自分がなるなんて思いませんでした。

どの人にも一人一人強いところ、バリューがあります。チームの中で「この人と仕事したら、この人のバリューはすごく活きるな」ということがあって、そうすると1+1が7にも8にもなるんですよ。そこも面白さの一つです。

ーー宮野さんは自分自身がマネージャーに向いていると思っていましたか?

マネージャーも役割の一つですから、キャリアの中で「自分はマネジメントをやりたい」という”want”を持っているかどうかが重要で、向き不向きというものではないのかなと思います。マネジメントのスタイルは本当に多種多様です。

私は下支えするリーダーというよりは、声をかけ、伴走しながら引っ張る方が多いですね。「私はこうしたいと思っているんだよね」という”want”を伝えるというのが重要だと思っていますので。マラソンのペースメーカーをイメージしてたんですが、チームメンバーからは「安理さんペース上げすぎだから!」とよく言われます(笑)

ーー宮野さんは自分でもどんどん率先して走るマネージャーなんですね!

私の大好きなセルティックスのレジェンドであるラリー・バードは「リーダーシップとはルーズボールに飛び込むことだ」という名言を残しています。超の付くスーパースターだった彼でも、それをいとわずやることでしかリーダーシップは見せられないんだと言っていて、私も本当にそうだと思うんです。

人が嫌がる仕事をいとわず、マネージャーだからこういう仕事はしないという固定概念を持たずに、自ら火の玉を拾いにいくという姿勢を持つようにしています。

ーーそういう姿勢が必要なのはなぜですか?

難しい仕事って、実際以上にハードルを高く感じてしまうことが多いんです。でも、そういう仕事にどんどんチャレンジする人がいれば、「あ、そんなに大したことじゃないのかもしれない」と心理的なハードルが下がって、チャレンジが習慣化するんじゃないかという思いからです。

ーー「私もルーズボール追いかけよう!」とメンバーが思うわけですね。

そうです。チームメンバーにはたくさんチャレンジをしてほしいですからね。だって、1回やって1回成功する人よりも、100回やって1回成功する人の方が、100回分学んでるから成長するんですよ。最初の何回かなんですよね。失敗するのが怖いのは。でも、上手くいかないことになれてくると、チャレンジできるようになってくるし、気持ちも安定してくるので失敗しなくなってきます。だから「パーフェクトより実行!」「チャレンジしよう!」と言い続けて、実際チームがチャレンジしてくれるようになったのはとても嬉しいですね。

ーー宮野さんもやっぱりそうやってチャレンジを学んだんですか?

はい、私もメンターの方から「自分のできそうな仕事を選んでいたら幅が広がっていかないでしょ。だから、失敗してもいいからチャレンジするんだよ」と教えをもらった側なんです。だから、私もみんなに伝えたいなと思っています。

■【今後の展望とメッセージ】自分らしい働き方を見つけたい方へ

ーー最後に自分らしい働き方を見つけたい方へメッセージをお願いします!

自分の”want”を持ったら、とにかくチャレンジ、実行して欲しいです。たとえうまく行かなかったとしても、周囲にはあなたの”want”は伝わっています。伝われば、必ず周りの人はサポートしてくれます。日本人の苦手な部分かもしれませんが、パーフェクトを目指さず実行してください!

私自身も、日本の中ではまだ限定的な女性リーダーにチャレンジし、女性の皆さんのチャレンジのサポートもしていこうと考えています。リーダーシップ層が多様であることで、企業の考え方も変化していきやすくなるはずですし、導き出される結果が同じでも、多様な立場から議論がなされることが大切ですからね。

それから、興味関心を広げて”複数の柱を持つ”ことは、必ず人生を豊かにしてくれます。ボストンセルティックスも含めて、皆さんにはぜひ柱を増やしてほしいです!

ーー宮野さん、本日はありがとうございました!

宮野さん出演のYou tube動画、Creative LAB | On Air vol.8はこちらからご覧いただけます。

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《ライター・北原泰幸》

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